翔太と翔太のお父さんが、保育園へ光輝を迎えに行って連れて帰って来てくれた。そのまま、箱詰めの手伝いをしてくれるつもりみたい。
「なんだお前、野球部だろ。練習行かなくていいのかよ」
 三条くん、今日、学校サボったんだって。
 あれから彼は、あたしと一緒に汗だくになって収穫をやってくれた。お昼は買い物にもついてきてくれて、それからお母さんの病院にも一緒に行ってくれて。
 お母さん、三条くんのことテレビで見たことあるって言ってた。
 まだ小さかったけど、面影残ってるって。
 あたしはぜんぜん知らないんだけど。
「日向ちゃん、お母さん、どうだった?」
 翔太のお父さん、ほんとによくしてくれる。
 お母さんの小学校のときからのお友だちなんだって。
「おじさん、光輝のお迎え、ありがとね。お母さんは当分安静だって。検査は連休明けになるって」
「そうか。じゃ、しばらくなにも分からないんだな」
 そう。すごく心配。
 最初は熱中症じゃないかって言ってたけど、どうもそんな単純なものじゃないらしい。
 頭が痛いみたいで、ちょっと特殊なお薬を使って頭の中を調べる必要があるんだって、お医者さんが説明してくれた。
「おおー、晃、しっかり手伝ってるな」 
「おじさん、翔太兄ちゃん、光輝の迎えありがとー。あっ、聖弥さん、さっきのぶん、土間の奥に移動させたぜ。こっちは終わった」
 翔太たちに挨拶をして、カートの車輪止めを掛けながら三条くんに声を掛けた晃。
 あたしの隣で翔太と睨み合っていた三条くんが、くるりと晃へ顔を向ける。
「おっ? はえーな。よし、こっちも手伝え」
「うん、チャッチャとやっちまおう」