はい。ここに居ます。
 だってぇ、夢中だったんだもん。
 もうすぐ、お昼休みも終わり。
 ずいぶん遅れて学校へ着いたら、やっぱり翔太はものすごく不機嫌だった。
 昼休みの間に、今朝の出来事をちゃんと正直に話したんだけど、まったく信用してくれない。
 あたしの右スネには、ちょっと大げさなキズテープ。
 まぁ、ビックリするよね。
 翔太が一番嫌いな『ガオカのイケメン』に、あたしがガッツリおんぶされてたんだから。
 しかも彼はパジャマだったし。
「お前なぁ、そんな作り話が通用すると思ってんのか? それにその足のケガだってちょっとおかしいだろ。本当はどうやってケガさせられたんだよ!」
「だぁーかぁーらぁ、暗い部屋の中に飛び込んだときに、置いてあったテーブルにぶつかったって言ったじゃない」
「いや、それはバットで叩かれた痕だっ!」
 ベッドはあったけど、バットはありませんでした。
 もしかして、野球部ってそんなことやってるの? まじ、野蛮。
 どうも翔太は、あたしが三条くんとなにかあって、彼からケガさせられたと疑ってるみたい。
 三条くんは、あたしを家まで運んでくれていたのに、どうやったらそんな考えになるんだろう。
 翔太、理解力なさすぎ。
 結局、あのあと、翔太がひったくるようにあたしを三条くんから引き離して、あたしを家まで運んでくれた。
 ちょうど市場から帰って来たお母さんがすごくビックリして、それからそのまま軽トラックで病院へ連れて行かれて。
 結局、弟たちは全員そのまま朝寝坊。
 翔太のお父さんが応援に駆けつけてくれて、弟たちを起こして学校と保育園へ送ってくれたみたい。