あっ! みんなっ!
 翔太のお父さん、翔太、小夜ちゃんっ!
 みんな来てくれたんだ!
 聖弥くんのお母さんのすぐ後ろまで、ドドドとみんなが押し寄せる。
 嬉しいっ。
 翔太、すごいドヤ顔。
 うわ、小夜ちゃん、なんなのその格好っ。
 しっかりと着こんだ野球のユニフォーム、そして足元はピンク色のゴム長靴。
 たぶん、動きやすい服装って翔太に言われたのね。
 それにしても、どこに売ってたの? そのピンクの長靴。
 翔太のお父さんは、聖弥くんのお母さんを見て、なにかあうあうと口を動かしている。
 ん?
 誰だろう。
 翔太のお父さんの後ろに……、見たことのない、恰幅のいいスーツ姿の男性……?。
 慌てて立ち上がって、お尻をはたくお母さん。
「けけけっ、結婚っ?」
 はいっ! そのとおりっ!
 もう決めたもん。
 あたし、聖弥くんのお嫁さんになるっ!
 そして、一緒に美味しいイチゴをいっぱい育てるんだからっ!
「ゆっ、許さないわっ! 未成年の結婚には両方の保護者の同意が要るのよっ! 私は認めないっ!」
 そう言って、お母さんがこちらへ駆け寄ってあたしの襟首を掴むと、すぐにスーツの男性がお母さんの手を押さえた。
「ちょっと待ちなさい」
「え? パパっ」
 ん? パパ?
 えええっ? もしかして……、聖弥くんのお父さんっ?
 うわ、またしても初対面の将来の義理の父の前で、あたしはなんとういう格好をっ!
 ハッと聖弥くんを見上げた。
 聖弥くん、嬉しそう。
「父さん、来てくれたんだ」
「ぜんぶ、小夜さんから聞いた。お前、熱があるんだろ? ちょっと横になってろ。日向さんを心配させるな」
「いや、でも」