追放された転生貴族、外れスキルで内政無双

「後になってからスキルプレートも解読可能な状態になったのだがな。まあ、その時も最初はこのような面妖なスキルプレートだったらしい。とはいえ、気を落とされるな。そういう事例があるだけということで、ヒロがそうと決まったわけではない」

「そうなのですか……時に、他にはどんな事例が?」

 ほっとした様子でそう尋ねる父上に、大司教様は肩を落としてこう答えた。

「他にはスキル【魔女の禁薬】。伝染病を振りまいて、東方の島一つが滅んだのは覚えておるだろう?」

「な……っ!? 他には?」

「スキル【貧乏神】。領地の農作物の育成速度が異常に遅くなった……」

「他には?」

「スキル【天災】。地震と津波で大変なことになった……」

 大司教様の語る衝撃的な内容に、ただただ僕はその場で呆然と立ち尽くすことしかできない。いや、でも……そんな……まさか……。

「他には?」

「スキル【魔王の申し子】、スキル【血塗られた逆賊】、スキル【皆殺しの……】」

 そこで父上は「もう何も聞きたくない」とばかりに耳を塞いだ。

 僕も同感で、もはやこれ以上……何も聞きたくない。

 そうして父上は深い――深い溜息の後に口を開いた。

「もう……よろしいです」

「非情に珍しい現象だが、ほとんどの王侯貴族はこのような場合……辺境の地に息子や娘を追放するのが常道だ。ところで、もう一つ預かっていたこのステータスプレートなのだがな?」

「ヒロの双子の弟の、マリソンですか?」

「うむ。通常、嫡男以外にスキルは与えられることは無く、奇跡的に授かっても……それは直系嫡男よりも弱いものとなる」

「ええ、その通りですね」

「ところがだ……今回はとんでもないことが起きている」

「とんでもないこと?」

「マリソンが授かったのは、【豊穣小神セネーの微笑み】栽培成長速度一・一倍、【風と大地の恵み】栽培成長速度一・一倍、【巨人の血脈】軍団HP一・二倍、【龍の加護】軍団HP一・二倍、【神龍の加護】軍団HP一・五倍だ」

「おお! 欲しかったところが全て揃っているですと!?」

 そんな馬鹿な……と、僕は更なる衝撃に襲われる。

 スキルを得るのは普通は長男のはずなのに、何故……どうして?

「しかもだ……聞いて驚かれるな。スキル【運命をつむぐ勝利の剣】をもっているのだ」

「攻撃倍率二倍の軍団守護剣系の……最上位……スキルですと?」