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　なるほど、確かに文字化けしている。これじゃあ説明できないのは当たり前だ。

「何ですか!?　ガチというスキルは……一体全体なんなのですか!?」

　狼狽する父上に、大司教様は沈痛の面持ちで口を開いた。

「ワシの担当では初めてのことなのでな、ローズウェル卿」

「そ、それで……他のスキルはどうなっているのです!?　軍団指揮系スキルは!?」

「無いのだ」

「……え？」

「残念ながら、守護盾の家系として授かるべきスキルは何もない」

「ヒロ！　私にもスキルプレートを見せるのだ！」

　父上は僕からスキルプレートを奪い取ると、そのまま表情を青ざめさせていった。

「そ、そんな……伯爵家の当主が……守護盾としてのスキルを何一つ持たないなんて……」

　そうして大司教様は、更に暗い表情をして言葉を続けたんだ。

「それに……言いにくいことなのだがな、ローズウェル卿」

「言いにくいこと？」

「このような面妖なスキル表記の場合、非常に危険なことになる可能性が高いのだ。実はワシは聖騎士団出身で……聖都で吸血鬼狩りの研究を専門にやっておった」

「はい、大司教様の経歴は存じております」

「スキル【流血と混沌の大河】。聞いたことは無いか？」

「西方の小国が滅んだという……未曽有の吸血鬼事件ですか？」

「吸血公爵ブラドのスキルだよ。彼はポロスターファ国の公爵だったのだがな……二十歳の日食を期に吸血鬼化し、高位ヴァンパイアを次々と生産し……そして国が滅んだ」

「まさか、その男は神託の儀式で……？」