「そうだった。エミ、貴方は確か……」

もう何年も呼んでいない名前を呼ぶと、エミは締め上げられているにも関わらず私の方を見て私の言葉を待った。

「……大丈夫か!…………聞こえているなら、返事をするんじゃ!」

何かを言おうとしたら、急に視界がフラッシュバックした。
目の前には、晴れ晴れとした空がひろがっている。
それに、いつも以上に老けて見えるマジ。
と、また別のつるっパゲ。

「目覚めましたな。ホッホッホ……解剖できなくてざん……目覚めて良かったですな。」

「確かにいい機会だったじゃろうに……」

よく分からないが、目覚めれて良かった。
眠り続けてたら、私はこの二人にいいように使われていたわけだ。
文字通り"いいように”。

「急に倒れたんじゃ。外傷もなさそうじゃし、とりあえず近場にあった診療所に連れてきたんじゃよ。」

「迷惑をかけた。ごめん。とりあえず、さっきの聞き捨てならないことは忘れておく。」

そういうと二人とも胸を撫で下ろした。





そういえば、つるっパゲはこう見えても名医らしい。
症状を聞いて病名を当てることもできるし、薬も作れるらしい。
そんな名医が私に下した倒れた原因とは、どうやら疲労らしい。
そんなつもりは無かったのだが、人間は無意識でも疲れているらしい。
だから、無茶は禁物であるとコンコンと説教された。