「この間さ、ケイが死んだんだ。」


とりあえず、私の部屋にケイを迎えた。
ケイは、椅子に座るとそう言った。
口調は、寂しげだったがどこか明るかった。


「そうなんですか。」


私の口から漏れた声は、案外冷たかった。
突然告げられた友人の訃報にも関わらず、私は冷たく払い除けてしまった。
まあ、人間誰しも終わりがあるのが当たり前なのだ。
それが早かっただけだ。
我ながら自分の冷たさに失望してしまいそうだ。


「……お前が、アイツと一緒にいたと目撃情報が上がっている。」


「そうなんですか。私は、確かにアスさんと一緒にいました。確かにね。でも、すぐにその後別れました。」


本当に私は冷たい。
こんなにも簡単に嘘をつけてしまう。
ケイの目が細められて、私を見つめる。
私は何も言わずにケイの目を見つめ返した。
ケイは品定めするように見つめていたが、やがて目を逸らした。


「そうだな。あれだけ仲良さそうにしていたんだ。お前のはずがない。ごめんな。」



「分かっていただけたのなら、大丈夫。今度お墓参り行ってもいいかな。私もお世話になった身だし、挨拶ぐらいしておきたいの。」


ケイは、本当に素直なんだ。
だから、私のことも深く疑うことは無い。
本当にいい人。