「疲れた。東の国から来たっていう設定にしたけど、私は東の国のこと全く知らない。そういうとこを考慮して欲しかった。」
「ごめんね。真逆あそこまで話を深堀してくるとは思わなかったの。」
「二人とも反省会は戻ってからね。ここで話して演技だってバレたらどうするの。」
何とかアスから解放された私たちは帰り道を歩いていた。
馬車に乗って帰るという手もあったのだが、馬車は足が着きやすい。
なので、下手に使っては嘘がどこからか露呈してしまうのだ。
だからといって、使わなくて正解だという訳では無い。
つまり私が言いたいのは、疲れたから楽がしたい。
熱が入ったアスは、ペラペラと話し始め途中から貼り付けていた笑顔が剥がれ落ちそうだった。
クライは真剣に聞いて頷いている振りをしながら寝ていたし、シャンは普通に目を開けたまま寝ていた。
地獄かと思われたそこに現れたのは、食事の用意ができたことを伝えに来たセバスチャンだった。
私は彼を今日から敬うだろう。
「とりあえず、腹ごしらえをしよう。その後で"みんな”で東の国について資料を探そう。」
「そうだな。とりあえず、私は腹が減った。」
シャンが"みんな”と強調して話していたことは、聞かなかったことにしよう。
私は今日一日で一年分のエネルギーを使った気がする。
身体が悲鳴を上げて、瞼も落ちかけてもう限界だ。
「何逃げようとしているの。レミィ、手伝ってくれるよね。」
「私は、眠くて。限界なの。」
「俺も限界だよ。」
結局、逃げようとした私をシャンがみつけて強制的に資料探しを手伝うことになった。
三人クマだらけで図書館を徘徊したのはいい思い出である。