次の日、私が登校すると、新しいクラスメイトたちは口々に挨拶をしてくれた。

早希は、私と目が合うと気まずそうにさっと目を逸らした。

それが、正しい反応なのだとは思う。

彼女にそうさせるようなことをしたのは私だから。

でも、分かっているのに少し傷ついた自分が、嫌だった。

「内藤さん」

呼ばれて顔を上げると、私に声をかけたのは、昨日私に部活に入ってなかったのかと聞いた子だった。

「私、平井茉耶っていうんだ、よろしくね」

「茉耶ちゃんっていうんだぁ。よろしくね、私のことは内藤さんじゃなくて優って呼び捨てでいいよ」

「おーけぃ、私のことはまーちんて呼んで。みんなそう呼んでるからさ」

「まーちん、ね。わかった」

まーちんは満足げに頷くと、「じゃ、なんかわかんないこととかあったら遠慮なく聞いて」といって、教室の後ろで騒いでいるグループの元へ帰っていった。

「もー、まーちんどこいってたの！ほら早くきてきて」

そのグループの中心は、背の高い、性格のキツそうな女子だった。

この学校は確か化粧は禁止のはずだが、派手に化粧をして、髪も赤茶に染めている。

「あーごめんごめん〜、なになにどしたの」

まーちんのその声を聞いて、私は眉を顰めた。

そのグループに加わったまーちんの声は、私と喋っていた時よりもツートーンくらい上がっていた。

「みてみて、Cherry andの新作のコスメ！パパが買ってくれたんだぁ。ね、可愛くない？」

「うわぁ、かっわいいなぁ。てか、梨沙子のぱぴー優しすぎな！惚れるわぁ〜」

そう言って大袈裟に手を叩いて笑うまーちんを見て、なんだかもやもやした気持ちになった。

もしかしたら気のせいなのかもしれないけど、私には、まーちんがなんだか無理をしているように見えた。