「すばらしい騎士じゃないか、なあ、莉愛」
先生は彼女に向かって言い、彼女は嬉しそうに笑い、得意げに、
「そうでしょ? 羽鳥先生なら菊川くんのよさをわかってくれると思ったよ。わたし、見る目があるんだよね」
と言った。先生はそうだね、と頷いた。
ぼくは先生に聞きたいことがたくさんあった。けれどそれは、彼女のいない場所で聞きたいことばかりだ。
彼女の病気、花みたいになる病気って、それっていったいなんなんですか。
彼女の病気は治るんですよね。
珍しい病気っていっても、治療法もちゃんとあるんですよね?
日本ではまだ難しいけど例えばアメリカとかでは治療が成功したりしているってこともあって、海外で手術を受ければ治るとか、そういうやつですよね。
彼女は、死んだりしませんよね。
ぼくらと同じように生きて、おばあちゃんになってもこんなふうにぼくをからかって遊んでる。そんな彼女しか、ぼくは想像できないんです。
どうなんですか。羽鳥先生。