メッセージには、すぐに既読のマークがついた。
 ぼくはその既読から、彼女の返事が来るまでの間、胸に直接ナイフかなにかで〝既読〟と刻み込まれたかのように、どきどきしながら待っていた。

【写真ありがと】

【ねえ、知ってる?】

【空の写真を撮って送る相手は、自分にとっての愛する人や、とても大切に思っている人なんだよ】

 最音さんからのメッセージが連続でぼくの手元の液晶に表示される。
 ぼくはそれを読んでつい、

【え、それって、送ってと言われて送った場合も含むの?】

 と返してしまう。すると彼女からすぐに、

【細かいなあ。理屈っぽい男はモテないよ】

 と返事が届く。

【理屈っぽい男で結構。確かに、ロマンチックな話だとは思うけど、今回の場合には当てはまらないと思う】

 ぼくがまたそう返事をすると、彼女から腕組みをしてぷんぷん怒っているクマのキャラクターのスタンプが届く。スタンプに続けて、

【はいはい。でも、これだけは言っておくね。菊川くんはまたわたしに、空の写真を撮って送ってくれると思う。今度はわたしに頼まれてじゃなく、自分の意思でね】

 と、なぜか自信満々なメッセージ。未来を予知する力でもあるのだろうか。