「撮ったよ」
振り返って彼女に言うと、彼女は嬉しそうに、
「はい、じゃあ次は?」
と言う。
「次は、って?」
「決まってるじゃない。今日の記念に、撮影したこの空の写真、送りたいから連絡先教えてって、わたしに言ってよ」
本当に、無理やりというかなんというか。彼女の性格はぼくにとって未知。小悪魔というより宇宙人。
「はいはい、聞けばいいんだよね」
「そう。ほら早く」
最音さんはやはりどこか嬉しそうな、なんともいえない表情をしてぼくに言ったので、ぼくはとりあえず、
「今日の記念に撮った空の写真なんだけど。君にも送りたいからぜひ連絡先を教えてくれないかな」
と言った。
なぜかすごく喉が渇いていた。
緊張するのはなぜなのか、自分でもわからなかった。
言わされているのにぼくがどきどきするなんてなんだか不公平なような気がする。