明日提出の英語のレポート、ある洋楽の指定のフレーズを聞き、レポートに日本語訳で自分なりの歌詞を書くというもの。
 ぼくの苦手なタイプの課題である。

 ダウンロードした曲を何度も再生し、歌詞をコピーしてノートに書き写す。使われている文法を調べて横に日本語訳としてメモを書き込むところまではできたのだが、その先の、自分なりの歌詞にするというところがまったくもって進まなかった。
 このタイプの課題は何度か出されているが、前回もただ日本語訳を書き込んで提出しただけのぼくの点数は、宿題を提出しなかったやつより少しましな程度。
 ネットで日本語訳の歌詞を調べてきてそのまま書き写したやつもいたが、もちろんそいつと同じことを考えた生徒は何人もいて、結果、まったく同じ歌詞が複数人から提出されていることになり、すぐにバレて全員がほぼゼロ点にされていた。
 英語自体は苦手ではないぼくも、自分なりの歌詞なんて言われてしまうともうお手上げだった。結局、文法のままに訳したものを書き込んで終了。その先は諦めることにして、店に降りる。

 階段を降りながらふと、最音莉愛のことを考えていた。
 同時に課題で訳していたラブソングの歌詞の冒頭部分を思い出す。