彼女の気持ちはなんとなく理解できる。なにかあったときのために四六時中誰かがつきっきり。それも自分のためにというのはプレッシャーにもストレスにもなるはずだ。彼女のような強気な子ならなおさら。

「わかりました。離れて見守る係ってことですね。倒れたときにいつも偶然そばにいる」

 ぼくが言うと、先生は目を見開いて、あら、と声に出して言った。

「話のわかる男でよかったわ」

 先生がぼくを男と言ったことやその目つきにややどっきりしつつ、ぼくは答える。
「ぼくが見守り係に任命されたってことも、最音さん本人には言わないほうがよさそうなんで、黙ってます」

「ありがとう。そうしてくれる」

 ぼくははいと頷いた。

「でも、倒れたりしやすいから体育の授業休んでるっていうんなら、みんなにもそう言ったほうがいいと思うんですけど。贔屓(ひいき)とか特別扱いみたいに、けっこう陰口言われてるんで」