先生が妙に、最音さんへの対応に慣れていることや、『また、なにかあったら』というところが気になって、ぼくは先生にたずねる。

「あの、最音さんって、よくこういうふうになるんですか」

「そう、夏は特にね。彼女の場合、普通の熱中症なんかとは違うから」

「なにが普通の熱中症とは違うんですか」

 ぼくがつい、細かい質問をぶつけると、先生はぼくのほうを振り返って言った。

「ねえ、これ以上、彼女について知りたいのなら、ひとつ約束してくれる?」

 若くて美人だと評判の保健室の先生だが、きちんと近くで先生を見たのは初めてだった。美少女という言葉がしっくりくる最音さんと比べると、先生は美魔女とか熟女という感じで、男子が面白がって騒ぐのも無理はないという気がする。

「約束ってなんですか」

「彼女は少し、無理をしすぎるところがあってね。こういうふうになることを人に言いたがらないの」

「はい」

 ぼくは彼女の顔を見つめながら頷き、先生の言葉を聞いていた。