アカネとの奇妙な関係は、相変わらず不定期に続いていた。もはや、私とアカネは、単なるクラスメイトではなくなっていた。かと言って恋人と呼ぶには、余りにもドライであっけらかんとした関係性を秘めていて、二人ともその微妙なスリルと快楽の感覚をやめられなくなっていた。気のせいだったかも知れないが、アカネは、日に日に少女から大人の女性の様相を呈してきていて、それが私の中では、自分の手によってアカネを変化させているという妙な優越感の様な感情を抱かせて、私のとても暗かった性格までも変えてくれているような気がしていた。

 母は、相変わらず私に毎晩薬を処方する役割を欠かさなかった。私自身、この毎日繰り返される母による「飼育」に何も疑問を抱かずに、ただ自分の頭の悪さを治療するための適切な服薬だと信じていた。薬の名前や、薬理作用なども全く分からずに、その身体中に満ち溢れるエネルギーの力を借りて毎晩勉強に励み続けた。

 私の勉強の成績が、驚異的に良くなったのに反するように学年トップクラスの学力を誇っていたアカネの成績は、かなり悪化しているようだった。私は、学校が終わってから二人で一緒にアカネの自宅で勉強会を行う提案をしてみたが、アカネは、そんなのどうでもいいというような返答を必ず言ってきたので、私もそれはそれで納得して結局いつも二人だけの禁断の快楽行為に酔いしれていった。
 アカネが、回数を増すごとに激しく快楽を求めてきていた。しかし、所詮中学生の私に出来る事は、限られていてアカネの為と言うよりは、私自身の快楽の儀式の様な性行為がひたすらに続いているだけだった。
「ミル君、最近変わったね」
 アカネからそう言われて、私は、何がどう変わったのか聞き返すこともせずに、いつの間にか二人の間で儀式の後の習慣となっていたタバコを吸いながら、静かに微笑んでそれ以上何も語らなかった。
「ねえ、今度これやってみない?」
 アカネは、そう言って大人向けのエンタメ雑誌のあるページを私に見せてきた。そこには、いわゆる合法ドラッグと言われるものが沢山載っていて、通販で買えるシステムになっていた。
「私はね~、このラッシュって言うのが欲しいなぁ~」
 どうやら、アカネは、合法ドラッグを本気で買うつもりだとその時感じた。