それも、素直な解答だった。
「何のためのモノですか?」
 全く持ってして素朴な疑問だった。
「う~ん、まあ、大体がセックスドラッグだね」
 店員は、そう言って私の顔を確かめながらカギを取り出してショーケースを開けてくれた。
「これは、マジックマッシュルームで、こっちは、一番売れてるラッシュ。それと……」
 店員は、事細かに一つ一つの商品のプレゼンテーションを行っていた。私は、その度に頷きながらプレゼンテーションをしっかりと聞いていた記憶がある。
「今日は、下見と言うか、お金持ってきてないので今度また来ます」
 私が、そう言うと店員は、一瞬ムッとした表情を見せたものの、直ぐに笑顔で、
「そうですか。また、お待ちしています」
 と言って、元の位置に戻っていった。

 アカネにその話をしたのは、しばらく経ってからだった。
「欲しいっ!一緒に買いに行こうよ!」
 アカネが、この話に飛びついたのは、私の予想通りだった。私とアカネは、二人で小遣いを集めて入念な打ち合わせをしてその週の金曜日の深夜零時に、それぞれの自宅を脱出して最寄りの公園で待ち合わせる事にした。