その数日後リハビリの為病院へと向かった亨は、リハビリを終えると陽菜の病室を訪れた。

「どうだ陽菜元気にしているか?」

この時も陽菜は耳にイヤホンを挿し、亨に貰ったデジタルオーディオを聞きながらパソコンに向かっていた。

その為亨が声をかけてもすぐに気付くことはなく、仕方なくもう一度声をかける亨。

「陽菜、おーい陽菜ったら」

何度目かの声に陽菜はようやく気付く事となった。

「あっごめんなさい気付かなくて、小説に夢中になってしまって。それより亨兄ちゃんほんとに来てくれたんだね、ありがとう亨兄ちゃん」

「当たり前だろ約束は守るよ。それはそうと小説順調そうだな? 俺が声をかけても気付かないほど集中しちゃって……」

「そうだったの? ほんと気付かなかった。ごめんなさい」

「良いんだよそんな事、別に謝る事ないよ。本気になれる事があるっていい事じゃない」

「ありがとうそう言ってくれて。だけど確かに順調ではあるけどあまりに順調すぎて怖いって言うか、なんかそんな感じなんだよね」