翌週の金曜日、この日亨の退院の日がやって来た。

この頃になるとつい最近まで鮮やかな緑に染まっていたはずの中庭にそびえ立つ木々の葉も赤や黄色に色付きはじめ、人々の目を楽しませていた。

その頃亨はというと、退院の手続きを済ませる一度陽菜のもとに顔を出していた。

「陽菜どうだ調子は、元気にしているか？」

「亨兄ちゃん、どうしたのこんなに早く」

「きょうは退院の日だ。その前に陽菜の所に顔を出しておこうと思ってな」

「そうだった、今日だったね退院。おめでとう」

「ありがとな。お前も一日も早く良くなるといいな」

「うんありがとう。一刻も早く元気になるね」

「待っているぞ！　じゃあもう行くから。お前が早く元気になって退院するの待っているからな？」

「うんありがとう、じゃあね」

「あぁじゃあな」

そうして亨は静かに病室を後にした。

その後世話になった病院のスタッフに挨拶をすると、亨は事務所の車で我が家へと帰っていく。