「大丈夫ですよ翔さん、ドライシャンプーですので。ですがカーテンだけは閉めさせてくださいね」

「そうですか分かりました。ではここで待っています」

「ではカーテンを閉めさせていただきますね」

そう一声かけるとカーテンを閉めた矢嶋はシャンプーを始める。

「陽菜ちゃん気持ちいい?」

「うんすっごく気持ちいいよ。いつもありがとう千夏ちゃん」

「良いのよ陽菜ちゃんはそんな事言わなくて、これがあたしたちの仕事なんだから」

「でもいつも感謝しているのよ、お礼くらい言わせて」

「それより陽菜ちゃん、最近すごく明るくなったんじゃないの?」

「そう? そんな事ないと思うけどなぁ?」

「そんな事あるよ」

矢島はおもむろに陽菜の耳元に顔を寄せると、亨に聞こえぬよう小声でささやく。

「翔さんのおかげ?」

その言葉に思わず頬を赤らめながら否定の言葉を口にする陽菜。

「何言っているんですか、そんなんじゃないですって」

そう言いながらも頬を真っ赤に染め上げる陽菜。