自分の病室に帰った後も亨の気持ちは晴れず、依然陽菜への心配な気持ちは拭い切れずにいた。

陽子はその日のうちに亨の病室へと出向きパソコンを受け取る事となった。

「ありがとう亨君、陽菜の為にこんなにしてくれて」

「いえとんでもないです。けどプリンターはもう少し待ってください」

「いつまででも待つわ、頂けるだけでも十分ありがたいんだから文句は言えないもの、ほんとにありがとね」

「おばさんそんな何度も礼なんていいですよ、でもどういたしまして」

笑顔を浮かべる亨であったが、陽子はそんな亨に対しわずかに俯き申し訳なさそうな表情を浮かべる。

「ごめんなさい、こんな良いもの頂いておいてすぐ帰るのもなんだけど陽菜が心配だからもう帰るわね。頂くだけ頂いてさっさと帰るみたいで申し訳ないんだけど……」

この時も亨の顔には笑みがこぼれていた。

「何言っているんですか、そんなの良いんですから早く行ってあげてください」

そうして陽子は陽菜の下へと足早に帰って行った。