「そんな事くらいで褒められることでもないでしょ、でもほんとどうしたの? ギプスまだ取れてないじゃない」

「先生に聞いたらギプスはまだ取れないけど車椅子に乗るのは大丈夫だって言うから、だからさっそく乗って来てみたんだ。俺学生時代スポーツやっていたから治りが早いのかもな?」

「だからってそんな無理しなくていいのに、まだギプス取れてないのに無理して大丈夫なの?」

陽菜はこの時すごく心配な表情を浮かべている。

「大丈夫だって、心配しすぎなんだよ陽菜は。ほんとはもっと早い時間に来たかったんだけどそうすると昼飯食いに戻らなくちゃいけないだろ? その後また来ても別にいいんだけど、それだったら昼飯食ってすぐに来た方が陽菜とずっといられるかなって思ってさ」

「そこまで思ってくれたのね、ありがとう来てくれて」

「何言っているんだ、前から言っていただろ車椅子に乗れるようになったら行ってやるからって。それにこの前までお前の方から来てくれていたんだからお互い様じゃねぇか」

「確かにそうだけどさ、それでもうれしいのよ亨兄ちゃんがここに来てくれたことが」

(亨兄ちゃんたらまだギプス取れてないじゃない、わざわざ来てくれなくてももう少しであたしも行けるようになったのに。でもその気持ち嬉しいな?)

にこりと微笑む陽菜。