翌朝看護師の矢嶋が朝の検温にやって来た。

「陽菜ちゃんおはよう、検温の時間よ」

「おはよう千夏ちゃん」

挨拶をするなり体温計を受け取った陽菜はそれをわきの下に挟んだ。

「ねえ千夏ちゃん」

「何陽菜ちゃん」

「今日体温が下がっていたら亨兄ちゃんの所に行っても良いの?」

「そうね、先生からも下がっていたら大丈夫と許可は頂いているからいいわよ、でもあくまでも体温が下がっていたらの話だからね。だけど体温が下がったからといってあまり無理してはだめよ」

すると体温測定の終了を知らせる電子音が『ピピピ……』と鳴り響いた。

「終わったわね、見せてみて」

体温の数値を見てみると陽菜の願い通り見事に熱は下がっていた。

「おめでとう陽菜ちゃん。ばっちり熱は下がってるわよ」

「じゃあ行っても良いの?」

「良いわよ。でもさっきも言ったようにあまり無理しすぎないようにね」

「やったぁ! ありがとう千夏ちゃん」

「ほら言っているそばから、あまりはしゃがないようにね。て言ってもその様子じゃ無理のようね」