「でもそれでは僕の気が済みません」

「君は自分の気が済まないから僕に謝っているの?」

「いえ、別にそう言うわけでは……」

「そうだよね、ごめんね意地悪いって、でもね、問題はミスをした後だと思うんです。一度ミスをしたらその後同じミスを繰り返すようではその人の成長はありません。問題はいかに同じようなミスを減らしていくかだと思うんですよね、結果集中力が増すことで全体的なミスもなくなると思うんです。ですから再び同じようなミスをしてしまった時は僕も怒るかもしれません。ですので今回のあなたのミスに対して僕は怒ってないです。それに今回は自分の落ち度もありました。ですから本当にもう頭をあげて下さい」

それでも床に伏せ頭を下げ続けるスタッフ。そんな様子を見ていた陽子がスタッフの下に歩み寄るとやさしく肩を抱きあげた。

「もういいから立ちなさい。大丈夫よ彼も許してくれているんだから」

そう言いながらゆっくりとスタッフを立ちあがらせる陽子。

「ありがとうございます」

礼を言いながら立ちあがったスタッフ、その瞳には涙をためていた。