数日後拒絶反応を乗り切り麻酔から目覚めた陽菜のそばには亨の姿があった。

「目が覚めたか陽菜?」

「亨兄ちゃん付いていてくれたの?」

「さっき一本仕事が終わって来たところだ」

「ママは?」

そこへ陽子の優しい声が届いた。

「ここにいるわよ」

「付いていてくれたんだね、ありがとうママ」

「ママよりも亨君にお礼を言いなさい。お仕事で忙しいのに時間が空くたびにわずかな時間でもこうやって様子を見に来てくれていたのよ。あと由佳ちゃんにもね、あの子も何度も様子を見に来てくれていたわ」

「そうなの? ありがとう亨兄ちゃん。由佳にも感謝しないとね」

陽菜が笑顔を浮かべ礼を言うと亨もそれに応える。

「良いんだよそんな事、何よりも大切な陽菜のためだ。今日はこのあともう仕事はないからずっといられるぞ!」

「そうなの? うれしい」

「そうだ、大事な事を言っていなかったな?」

「なに大事な事って」

何だろうと尋ねる陽菜。

「手術の結果の事だ。安心しろ、手術は無事成功だそうだ! あとは拒絶反応だが手術が終わった後少し出たが乗り切ったからもう大丈夫だろう」

亨の言葉にホッとする陽菜。

「そう良かった、それならひとまず安心ね」

「そうだな? このまま何もない事を祈ろう」 

その後何事もなく陽菜は無事に退院となった。