「そんなの良いのよ気にしなくて。あたし亨兄ちゃんと遊んでいた時にもよく具合が悪くなったりしていたでしょ? 亨兄ちゃんがいなくなった後に凄い息苦しくなって立てなくなったことがあったの。その時一度大きな病院で診てもらった方が良いんじゃないかって事になって、そしたら心臓に欠陥がある事が分かったの」

陽菜に起った幼少期からの辛い出来事に触れた亨は何とかしてやりたいと思わずにいられなかった。

「そういう事だったのか、ごめんな俺が気付いてあげられなくて」

「何言っているのよ、あたしの両親でさえ気付かなかったのよ、子供だったあたしたちに気付く訳ないんだから仕方ないの。だから亨兄ちゃんは気にすることないのよ」

「確かにそれはそうなんだけどさぁ、なんか申し訳ない感じがして」

「良いって言ったでしょ、その気持ちだけで十分」

「ありがとな気を遣わしちゃって」

亨の気持ちにうれしさが込み上げる陽菜。

そんな時由佳が陽菜に声をかける。

「さあ陽菜長居は出来ないって言われたでしょ、そろそろ自分の病室に帰らないと」

由佳の言葉に陽菜は寂しさを隠せずにいる。