移植手術を翌日に控えたある日、陽菜の見舞いに来た亨の姿は病院の待合室にあり、そこには陽菜の母親の陽子と共にあった。

「おばさん、いよいよ明日ですね手術」

「そうね、無事に終わればいいんだけど」

「大丈夫ですよ陽菜なら。でもごめんなさい、明日僕も付いていてあげたいんですがどうしても仕事で無理なんですよ」

申し訳なさそうに謝罪する亨に対し、スターとしての翔を気遣う陽子。

「別にいいのよ気にしなくて、たしか音楽祭の授賞式だったわね」

「はい、欠席しても別によかったんですが、怪我をしてファンのみんなに僕の姿を見せることが出来ていなかったので怪我が治ったのなら必ず出席しなさいとうちの社長が言うもので」

「そりゃそうよ、ファンの皆さんがあってのあなたでしょ。こっちの事は良いから安心して出席しなさい」

「ありがとうございます。終わったら必ず来ますから」

ここで陽子はしみじみと語り始める。

「だけどほんと陽菜が手術を受けてくれるって言ってくれてよかったわ、亨君ありがとね。でも一体陽菜になんて言ったの?」

陽子の問いかけに思わず言葉に詰まってしまった亨であったが、理由を聞かれてしまったため大変言いにくそうに応える亨。