「ねえ亨兄ちゃん、小さいころ二人でした約束覚えている?」

「覚えているぞ、確か大きくなったら陽菜が俺のお嫁さんになるって約束だよな?」

「覚えていてくれたんだぁ、あの約束って今でも生きている?」

「さすがに子供の頃の話だからなぁ」

すると勇気を振り絞りつつ冗談交じりに告白する陽菜。

「もしあたしの手術が無事に成功して病気が治ったらあたしと結婚してくれる? そしたらあたしも手術を受ける」

「何を突然言い出すんだ!」

「やっぱりダメだよね、子供の頃の話だもんね、結婚なんてできる訳ないか。亨兄ちゃんの事だからきっと素敵な彼女がいるんだろうな?」

「なにいっているんだ? まだ何も言っていないだろ。それに俺彼女なんていないぞ!」

「ほんとそれ」

一瞬にして声が弾む陽菜であったが、次の瞬間再び陽菜の声は沈んでしまう。

「でもこんなあたしといきなり結婚だなんて無理よね」

「そんな事ないぞ! 陽菜とだったら結婚しても良いと思っている」

亨があっさりこんな事を言えたのも実は亨も陽菜に想いを寄せていたからであった。