「とにかく先生は必ず成功させるって言ってくれているんだから、お願いだから手術して」

「ごめんなさいママ、お願いだから一晩で良いから考えさせて」

「分かった、あなたがそこまで言うのなら仕方ないわね。また明日来るから」

「ごめんねママ」

そうして陽子はがくりと肩を落としつつ陽菜の病室を後にした。

その後自宅に着いた陽子はすぐに亨のケータイに電話をかける。

『もしもし』

「もしもし亨君? 三枝ですけど」

『あぁおばさん、どうしたんですか突然電話なんて』

「突然電話なんてしてごめんなさい、今大丈夫かな?」

『ちょうど今空き時間なので大丈夫ですよ。それよりどうしたんですか? まさか陽菜に何かありました?』

「その事なのよ、申し訳ないけど明日病院に来られる? 出来るだけ早い時間が良いんだけど」

『それは大丈夫ですけど、陽菜に何かあったんですか?』

「実はあの子のドナーが現れて急きょ手術ができる事になったの」

『そうですか、おめでとうございます。これで陽菜も治るんですよね』