「仕方ないので考える時間を与えましたが結論は急ぐように言っておきました、やはり怖いようですね。ですのでお母さんの方から説得をしていただけませんか? このままずるずると行ってもいずれ心臓が弱ってきます、そしたら命を落とすことにもなりかねません。この移植はまたとないチャンスなんです」

「分かりましたあの子に言ってみます。ありがとうございます教えて頂いて」

「いえ礼の方は手術が成功した後に言ってください」

その後すぐに陽菜のもとに向かった陽子は必死に陽菜の説得にあたった。

「ママどうしたの突然こんな時間に」

「どうしたのじゃないわよ先生から聞いたわよ、あなたせっかくドナーが現れたのに移植を迷っているんだって?」

「あぁその事、だって怖いんだもの、今付いてる心臓を外して他の物と取り換えるんだよ、怖くない訳ないじゃない」

「やっぱりそう言う事だったのね。でもこのまま何もしなかったら何れあなたの心臓は弱くなって機能しなくなるのよ、あなたも聞いているでしょ」

「知っているけどでも怖いの。もし亨兄ちゃんと再会する様な事が無かったら移植していたかもしれない。でも再会してしまってからはもし移植に失敗するようなことがあって亨兄ちゃんに会えなくなることがあると思うと、その事を考えると怖いのよ。会えなくなるとが」

「あなた亨君の事が好きなのね」

その言葉に頬を赤く染める陽菜。