「でも焦る事もないんじゃない、今まで忙しかったんでしょ? 神様が少し休みなさいって言ってくれているのよ」

「確かにそうかもね、ありがとうそう言ってくれて。陽菜がそう言ってくれたおかげで少しは気持ちが楽になったよ」

亨は一番気になっていた疑問を陽菜に尋ねる。

「ところで陽菜の方こそどうしてこんなとこにいるんだ? 車椅子なんか乗っちゃって。やっぱりどこか怪我でもしたのか?」

この時亨の目には陽菜の表情が幾分曇った様な気がした。

「あたし? 怪我なら良いんだけどね、時間が来れば直るから……」

「怪我じゃないんだったらどうしたんだ?」

不思議そうに亨が尋ねると陽菜が伏し目がちに応える。

「ちょっと心臓がね、もうここも長いのよ。移植が必要なんだけどドナーが見つからなくて……」

この時亨は陽菜のまさかの言葉に驚きを隠せずにいた。

「なんだよ心臓って、大丈夫なのかよ」

心配な表情で尋ねる亨に対し俯いたまま応える陽菜。