暫くして五十嵐が伊藤弁護士事務所に到着すると、挨拶もそこそこに伊藤はソファーに座るよう促す。

「よくいらっしゃいました、どうぞお座りください」

五十嵐がソファーに腰を下ろすと、わざわざ事務所にやってきた理由を尋ねる。

「わざわざご足労いただきありがとうございます。要件というのはやはり警察に行っていただいた件でしょうか?」

「はい、先ほど警察に行って証言してきました」

「ありがとうございます、それでどうでしたか?」

「どうもこうもありません! 警察の方は私の証言をまともに取り合っていないようで、私の証言が間違いだったと誘導しているようでした」

その言葉に伊藤はがっかりとうなだれるしかなかった。

「やはりそうでしたか、あなたのような一市民の証言も信用しないとは、わたしもあれほど言ったのに。彼らが外国人だからって偏見の目で見るなんて警察も地に落ちたとしか言いようがないな?」

「警察の方も言っていました、罪を犯す外国人が結構いるからと、私はその言葉に怒っているんです。私の知り合いにも外国人の方が何人かいますけどみんな優しくていい方ばかりです。外国人というだけで犯罪者扱いをするなんて許せません!」