翌日の日曜日、事件の証言をするため朝一番に五十嵐は警察署へと向かった。

「五十嵐さん、事件当日現場の様子を見ていたそうですけどどんな状況だったか分かりますか?」

「はい、あの時は日課のウォーキングの途中だったんですが一人の男の人が刃物のようなものを持っていて数人の男の人達をめがけて突進していくところだったんです、遠目からでもはっきりと分かりました。刃物を持っていたのが日本人で襲われていた方が外国人でした。あたしもう怖くて」

「その後どうしたか分かりますか?」

「刃物を持っていた男の人が外国人の人達めがけて襲い掛かったように見えました。そしたら刃物を持っていた男の人と外国人の男の人の中の一人がもみあいになって最初に刃物を持っていた人が逆に刺されてしまって、その後数人の男の人の一人がケータイ電話でどこかに電話をかけていたようです。その後あたしも怖くなってその場から逃げたんですが少したったら救急車のサイレンの音が聞こえたのであそこに向かうのかなってわかったんです」

「その時あなたは通報しようとは思わなかったんですか?」

「一瞬思いましたけど怖くて関わりたくなかったんです。すみません」

「そうでしたか」