「なぜそうなるんです! あなた方まで外国人への偏見の目で見ているんですか? 本田は以前にも仲間と共謀して彼らを襲っているんですよ、その時彼らの給料を奪い去ったために会社を解雇されているんです。今回はその逆恨みの犯行だと考えてもおかしくないと思いますが」

「でも実際刺されたのは本田さんですが、これはどう説明するんです?」

「ですから彼らも言っていたでしょ、本田が先に襲ってきてもみ合いになっているうちに本田にナイフが刺さってしまったんですよ。そもそも救急車を呼んだのは彼ら自身です、そんなのおかしいでしょ、普通人を刺したら逃げると思いますが? 事件現場にしたっておかしいんです。あの道は彼ら外国人従業員が寮に帰る通り道です、確か本田の家は逆方向のはずですが? 彼が本田の家近くで刺したと言うならまだ分かります、ですがそうではないでしょ!」

「分かりました仕方ありませんね、もう一度捜査しなおしてみます」

この時山崎は伊藤に早く帰ってほしくて適当に言っていたにすぎなかった。