「その通りです。あの日本人男性に襲われた彼らの仲間の一人がもみ合っているうちに逆に刺してしまって、それなのに日本人男性を刺したということで逮捕されたのは彼らの仲間なもので!」

伊藤の言葉に女性の疑問が解ける事となった。

「そう言う事だったんですね、それなのにどうして襲われたのは外国人の方なのに逮捕されるなんて事になってしまったんですか?」

「それは分かりません。ですが一つだけいえる事は彼らが外国人だという事です、偏見があったのでしょう、でもいきさつはどうであれ刺してしまったのは事実ですから」

俯いてしまった伊藤であったが伊藤の心にある思いが浮かんだ。

「遅れましたがお名前を伺ってもよろしいでしょうか?」

「構いません、私は五十嵐と言います」

「では五十嵐さん、今の話を警察で証言して頂く事は出来ないでしょうか?」

この言葉によりしばし会話が途切れ、彼らの間に沈黙が流れた。