「それだけじゃないんだ、やつら僕たちの荷物の中から給料を取っていきやがった」

エリックのまさかの言葉を聞いたソムチャイは怒りをにじませていた。

「それ犯罪じゃねえか、お前たちこのままで良いのか?」

「良いわけないだろ悔しいよ。だから伊藤先生の所に行ってきたんだ」

エリックは本当に悔しそうに顔をゆがませており、そんなエリックたちをそれまで黙って聞いていたアインが励ます。

「だったら先生に任せておけばいいよ、取られた給料だって帰って来るだろう、それにこれが本当だと分かればクビになるのはあっちだ。バカだよな? どうしてそれが分からないんだ」

「そうだな?」

ぽつりとつぶやいたマイク。

翌日伊藤の姿は本社の社長室にあった。

「本日はどんな用件でしょうか? 礼の件はもう解決したはずですが」

「なにを言っているんですか佐々木社長。昨日そちらの日本人社員五・六人がマイクさんとエリックさんの二人にした仕打ちを知らないんですか?」

「いったい何をしたんです?」

「五・六人のその日本人社員たちはマイクさんたちに暴行を働いたんですよ、ご存じないんですか?」

突然の事に驚く佐々木。