「君たちもよくやってくれたよな、さっき本社に君たちの弁護士がやって来たよ。今月分の給料から君たちの給料も日本人社員と同じくらいの水準にする。それと過去二年にさかのぼって今までの未払いの給料も少しずつ払っていくから、これで良いだろ!」

その言葉に対しアインが確認するように尋ねる。

「あのっそれっていままで払ってもらえなかった給料も払ってもらえるという事ですか?」

「そうだな、本来支払うべき給料を払っていく。ただすぐに全額と言う訳にはいかない、今後五年以内に未払い分全額払いきれるようにする」

「分かりました、ありがとうございます」

そこへエリックが声をかける。

「待てアイン、礼なんか言う必要ないんだ。これは僕たちが本来もらえるべきだった給料を払ってもらうだけなんだから」

エリックの言葉に佐々木はぽつりと呟くと、すぐにみんなに聞こえるような声で更に続ける。

「確かにそうだな、今まで済まなかった。それとこれから君たちのパスポートを返す。名前を呼ばれた者は前に出てきてくれ!」

その後佐々木の手により一人ひとり名前を呼ばれると、その場の全員にパスポートを返していく。