「そんなの素直に聞く事ないですよ、パスポートだって返したという事にしておけばいいじゃないですか」

「それがそうでもないんだ。誓約書を書かされた挙句守られなかったら法的手段に訴えると言ってきたからな?」

「そうでしたか、それでは仕方ないですね。まったくあいつらとんでもねぇことやらかしてくれたな?」

(面倒な事になったな?)

この時小林はそんな風に思ってしまった。

「もう少しごねてもいいかもしれないと思ったけど裁判になったら負けるのは目に見えているし、あまり面倒な事になっても嫌だから従うことにした。それに裁判になって慰謝料を取られるより今のうちに従っておいた方がましだと思ったんだ」

「確かにそうですね」

「そう言う事だから彼らをここに呼んでくれないか?」

「分かりました」

小林は会議室を後にすると社内放送により外国人社員たちを会議室に呼び出す。

放送によって会議室にぞろぞろと集まった外国人従業員たち。

「なんですか、またみんなを集めて」

代表してマイクがそう尋ねるものの、何となく予想は付いていた彼ら。