「待ってください! そんなことをしたらうちの会社自体が危なくなってしまいます」

「それはあなた方が悪いんでしょ、これが嫌なら初めからこんな事しなければいい。コストカットの方法なんていくらでもあるでしょ! 別にすぐに全額とは言いません、これが原因でこの会社が倒産なんてことになってしまったら本末転倒ですからね。ですからこの先五年をめどに支払ってください。もしその間に彼らが退職してしまっても未払い分は最後まで払いきってください」

「分かりました、善処します」

「ありがとうございます。では誓約書を持ってきましたのでこちらにサインをお願いします」

伊藤はカバンから一枚の紙を取り出した。

「分かりました、随分と用意がいいですね」

ペンを取り出した佐々木はその誓約書にサインをすると印鑑を押した。

「これで良いですか?」

「良いでしょう、では今後ずっと守ってくださいね、新たに外国人従業員が入社した場合も同様です。もしこれが破られた場合は法的措置をとらせていただきますのでお忘れなく」