「申し訳ありません社長、弁護士の方が逃げても何度でも来ると言っていますが」

『だからと言ってわざわざかけてくるな、適当にあしらって追い返せ』

「ですが社長がいつまでもその態度では法的手段を取ると言っていますが」

そう言われてしまえば会うしかない佐々木。

(法的手段だと? 本気ではないかもしれないがもし本当にそんなことをされてしまえば後々厄介だな)

『分かった仕方ないな、その弁護士の先生とやらを社長室に通してくれ!』

「かしこまりました」

事務員が電話を切ると伊藤を社長室に案内する。

「では社長室にご案内します、こちらにどうぞ!」

その後社長室に入る伊藤であったが、部屋に入るなりいきなり佐々木からのクレームが飛んできた。

「アポもなしにいきなり来るのは失礼じゃないかね?」

(何を言い出すかと思ったらそんなことか、全く自分で居留守を使っておいて何を言い出すんだ)

「なに訳の分からない事を言っているんです。こちらがアポイントを取ろうとしたのにもかかわらず居留守を使ったのはそちらではないですか? あなたがそんな事をしなければきちんとアポイントを取っていましたよ。それに何ですかさっきも居留守なんて使って」

この時佐々木は言い返す事が出来ずに苦虫をかみつぶしたような表情を浮かべていた。