「大丈夫、費用の事は心配なさらなくて結構ですよ、私は普段は弁護士として働いていますがNPOの職員としても活動しているんです。私はそこの所長です」

「そうだったんですか、ではお金の事は心配しなくて良いんですね」

エリックが確認するように再び尋ねると、伊藤はもう一度それに応える。

「そうですね、お金の事は心配しなくて大丈夫ですよ。ただもし訴訟に発展した場合にはその裁判費用が掛かってしまいますが、そうなった場合でもたとえば慰謝料に裁判費用を上乗せして請求するなどしてみます」

「それじゃお金はかからずに済むんですか?」

伊藤の説明に希望を抱いたエリックであったが、その説明にはまだ続きがあった。

「ただ裁判費用と言っても弁護士費用と訴訟費用は別で、弁護士費用は我々弁護士に払う費用で訴訟費用は実際に裁判にかかる費用の事を言います。先ほど言いました上乗せする部分というのは弁護士費用の事を言いますが訴訟費用はそれに含まれません。ただこれも一般には被告の方が多く払う事になります。でもそれもこちらが払う分はそうは多くないと思いますが」