「だけどこんな会社に入ったためにやめるにやめられなくなったということか?」

問いかけたアリに対し応えるマイク。

「そうだな、パスポートも取り上げられているしな」

「それでその給料明細を拾ってどうしたんだよ」

アリのそんな呟きに説明を続けるマイク。

「そうだったな話を戻そう。本田の給料明細を拾ったときに偶然給料の金額がみえて、そこには細かい金額までは分からなかったけど十九万て書いてあるのが見えたんだ。僕たちの倍以上だ。僕は今まで日本人の給料と僕たちの給料は同じくらいだと思っていた、だからどうしてこんなに違うのか聞いたんだ。そしたら日本人と僕たち外国人では外国人の給料の方が少なくて当然だって言ったんだよ! それどころか日本人の方が偉いとまで言いやがった」

その話を聞いているうちにアリの心には怒りがふつふつとわいてきた。

「なんだよそれ、僕達だって日本人と同じだけ働いているのに日本人でないというだけでどうしてこんな目に合うんだよ」

アリの怒りの声を聞きつつ更に続けるマイク。