「うそだ……」
「嘘じゃない。とにかく貴方にしか私は見えてない。このまま私と話をしていると、貴方は不審者だと思われるの。静かにしていたほうがいい」
「でも入院中って、死んでないってことじゃないですか」

 切実な声色に、ずきずきと頭が痛くなった。

 死んでいないからか、今もこんなに感覚が残っているのかと、忌々しい気持ちになる。 

「私は、死にぞこなった。医者はいつ意識が戻るか分からないって言ってる」
「じゃあ生きてるってことですよ! い、今はほら、幽体離脱みたいになってるかもしれないけど、死んだわけじゃないし、元通りになるかもしれないし……」

 ──大丈夫です。

 きっと。生きてる。

 良かった。死んでない。

 喜びに溢れた言葉に、目の奥が熱くなった。