「撮影? あっ、今日あかりちゃん、病院で撮影しているの? あ! 新しいドラマとか!? なら俺、ちゃんと黙ってます!」
「違います」
炎上のせいで仕事は全部キャンセルだ。
それに撮影なら、化粧道具を抱えたメイクスタッフや、レフ板を動かす照明スタッフもいるはずだ。カメラ片手になんてことはない。
私について嗅ぎ付けてきたのだろう。情報が出回るのがはやい。
おそらく私の身体は救急車で運ばれた。死んでいたら布に包まれていただろうけど、担架に乗っていたなら顔が出ている。
私は止む無く踵を返し、病院の裏手──中庭へと回った。出入り口がなく入院中の患者が憩いの場としているらしく、点滴を取り付けたキャスターを押す高齢者や、小さな子供が何をするにでもなく座っている。