「先生、どうでした?」
「僕じゃないと、手術受けたくないって……手術をしなければ、あの子は助からないのに……」

 助からない。

 あの水色のパジャマの女の子は、手術をしないと助からないのか。

 でも、生きたくても生きられない人がいても、私は死にたい。

「え……、あ、あかりちゃん……?」

 聞こえてきた呟きに、振り返る。

 私から三メートルほど離れた廊下のむこう、ぼさぼさの髪に、季節感がまるでないパーカー姿の冴えない男が立っていた。童顔で華奢だからか、目を丸くしていると、幼く感じる。

 背は高いけど年は同い年くらい……もしくは相手のほうが年下かもしれない。