「でも遥翔さん、人の悪口は言ってはいけませんよ、他人に欠点があるように自分にも必ず欠点はあるんですから。あたしにも、遥翔さんにだって長所もあればどこかに短所もあるはずなんですよ。人間だれしも完璧な人はいないんです」

(驚いたなぁ? 杏奈ちゃん自分が嫌な思いをさせられたというのにその相手に対してこんなやさしい事が言えるなんて。一体この子はどこまでやさしいんだ?)

『確かにそうだな? 一つ杏奈ちゃんに教えられたよ。杏奈ちゃんてすごくやさしいんだね、前からやさしい子だなとは思っていたけどここまでやさしい子だなんて思わなかったよ。これ程やさしい人はほかにいないんじゃない?』

「そんな事ありません、この位普通ですよ」

『やさしいよ杏奈ちゃんは』

「そうですか、普通なんだけどなぁ?」

『でも気を付けてね、この優しさが時には仇になる事もあるんだからね』

「はい気を付けます。ところで遥翔さん、あたしテレビの仕事が決まったんです。なんか初めてのテレビだから今から緊張しちゃって」

『そうだってな、実はその番組僕も出るんだ。よろしく頼むな』

遥翔からの思いもかけない言葉を聞いた杏奈は嬉しさとともに心強さを感じていた。

(遥翔さんも一緒なんだぁ、良かった。実は初めてのテレビの仕事で緊張していたんだよね。これで少しは安心かな?)

「遥翔さんが一緒にいてくれたら心強いです。こちらこそよろしくお願いします」

『なに緊張する事ないよ、生放送ならまだしも今回は収録だから』