「なんかあの大スターの遥翔とあたしが一緒に歩いているのも驚きなんだけど、その遥翔がこんな小さな島の民宿に泊まっているなんて何だか信じられないなと思って。遥翔って言ったら田舎の民宿なんかじゃなく豪華な一流ホテルに泊まるイメージだからさ」

「なんだそんな事？　僕だって民宿に泊まる事くらいあるよ。それに仕方ないだろ、港で聞いたらこの島には他に泊まるとこなんてないそうじゃないか」

（それもそうよね、何だか変なこと聞いちゃったかな？）

「確かにそうだけどやっぱり遥翔は一流ホテルのイメージだなぁ？　こんな田舎の島の安っぽい民宿なんかに泊まっちゃいけない人よ」

杏奈の言葉に遥翔は衝撃の事実を言い放った。

「ありがとうそう言ってくれて。でも僕は別にどんな所に泊まったからと言って苦にならないんだ。君も有名な話だから聞いた事あるだろ？　僕が施設で育った事、施設で大勢の仲間たちと一緒に育った僕にとって民宿に泊まる事くらいどうって事ないんだよ。それにいいじゃない民宿も風情があって」

「確かにそうですね。だけどあの噂って本当だったんですか？」

遥翔の思わぬ告白に驚きの表情を浮かべる杏奈。何故ならそれまで杏奈はこの話は単なる噂にすぎず真実ではないと思っていたことにあった。