『それ僕も駆け出しの頃にあったよ、あれは恥ずかしいよな。スタッフだと思っていた人が全然関係なかったんだよな? でも逆じゃなくてよかったんじゃないか? スタッフじゃないと思って挨拶しなかったらスタッフだったみたいな。それって最悪だろ?』

この時遥翔が起こしたと言う出来事を聞いた杏奈は自分だけじゃないんだと妙な親近感の様なものを抱いた。

「遥翔さんもそんな経験あるんですか、みんなそうなのかなぁ?」

『そんな事ないんじゃない? 僕らだけだよきっと』

「やっぱりそうですよね、関係ない人に挨拶する人なんてめったにいないですよね。だけど確かに挨拶は大切な事ですからこれからも挨拶だけはしっかりしたいと思います。今日は疲れたのでこの後お風呂に入ったらもう寝ますね、おやすみなさい」

『そうだね、ゆっくり休むと良いよ。おやすみ』

その後杏奈は初仕事を終えた疲れから風呂に入るとすぐに眠りに入ってしまった。

雑誌の発売日、杏奈は近所の書店に出かけると自分のグラビアが載った雑誌を客が手に取るところを物陰からそっと眺めており、時には目立ちやすいように自分で陳列しなおしたりもしていた。