ところが突如とした直樹の表情が険しいものへと変わり、岩崎に一つの注文を付けた。

「岩崎さん、その代り一つ条件があるのですが受け入れて頂けますか?」

「なんでしょう条件と言うのは」

一体何を言われるのか岩崎が不安に思っていると、それは父親として当然と言えるものであった。

「モデルになるという事は水着の仕事もあるんでしょう、娘を持つ父親としては娘の水着姿を世間に晒す事に納得できた訳じゃないですがそれも仕方ありません、それも仕事のうちですからね。でもそこまでです。どんなに売れなくなっても脱ぐような仕事はさせないでください、父親としてそれだけは耐えられません! そんな事をさせるくらいなら引退させた方がましです。もしそのような事があればわたしはあなた方を訴えます」

この時直樹は鋭いまなざしで岩崎を見つめていた。

「ご安心ください、そのようなまねはさせる予定はないですし私がさせませんので。どうしてもというのなら契約書にその文言を加えておきましょう」

岩崎の言葉にほっとする直樹。

「ありがとうございます」

「ありがとうパパ、あたし一刻も早く売れるように頑張るね」

その後杏奈は岩崎達と一度東京に帰ると直樹から出された条件を契約書に付け加え、数日後再び島に向かうと直樹と共にその書類にサインをした。