「じゃあ良いわ、早速彼女と契約したいんだけどまだ彼女この前高校を卒業したばかりよね、一応ご両親に御挨拶した方が良いと思うんだけど」

この時遥翔は表情では冷静を保ちつつ心では喜びを爆発させていた。

「そうですね、ご両親にはきちんと挨拶しておかなきゃまずいんじゃないですか? そう言う事なら出来れば僕も一緒に行きたいんですけど」

そんな遥翔の願いに、やはり単なるスカウトした相手ではないのではと感じる岩崎。

「あなたも一緒に? でもスケジュールが合わないんじゃない。あの子の家に行くのに一日がかりなんでしょ?」

それでもこの時の遥翔は引き下がる事を知らなかった。

「五十嵐さんにスケジュール調整してもらってなんとかならないかな? それにいきなり見知らぬ人が行っても信憑性に欠けるしもしかしたらどこかの悪徳プロダクションじゃないかって不審に思うかもしれない。でも僕が行けば顔くらいは見た事あるだろうしその辺は安心なんじゃないですか?」

「それもそうなんだけど」

岩崎はしばらく考え込んでしまった。

(遥翔の言う事にも一理あるわね。確かにあたしだけだとどこかの悪徳プロダクションに騙されているんじゃないかって思ってしまうかもしれない、もしうちの事務所の名前を知っていたとしても名刺なんて簡単に作れてしまうし、うちの事務所の名前を騙っているともとられかねない。そうなるとやっぱり遥翔にいてもらった方が良いのでは……)

悩んだ末に岩崎は結論を出した。